現在、男子フィギュアスケート界で世界最高得点を保持しているのはネイサンチェン選手です。
やはり4回転ジャンプをきれいに決めることができますので、それが得点源となりジャンプが上手くはまった時にはものすごい高得点をたたき出すことができるのは、ネイサンチェン選手の強みです。
今シーズンのグランプリシリーズでは、アメリカ大会とフランス大会で制してグランプリファイナル出場を確定させたネイサンチェン選手ですが、グランプリファイナルでも優勝と3連勝しました。
ネイサンチェン選手の世界最高得点や今後の展望について見ていきましょう。
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ネイサンチェンの世界最高得点は?
ネイサンチェン選手は、現在のショートとフリー合わせた総合得点と、フリーの世界最高得点の保持者です。
その得点は、323.42点。
その点数だけ聞いても、どれくらいすごいのかということは想像がつきにくいかと思いますが、オリンピック2大会連続で金メダルを獲得している羽生結弦選手ですらまだ届かない点数なのです。
ネイサンチェン選手は、この世界最高得点を2019年3月に日本で行われた世界選手権でたたき出し、優勝しました。
ショートプログラムでジャンプを完璧に成功させたうえ、加点も大幅に得てショートプログラム2位だったジェイソン・ブラウン選手に10点以上の差をつけて、翌日のフリーに臨みました。
母国開催である羽生結弦選手からしたら、何としてでもフリーで巻き返してタイトルを獲りたいという気持ちがあったでしょう。
それを感じさせるように、羽生結弦選手もフリーでは気迫のある演技を披露したものの、ショートプログラムに続きフリーでもノーミスの素晴らしい演技をしたネイサンチェン選手には勝てなかったのです。
この世界選手権の羽生結弦選手とネイサンチェン選手の演技は、稀にみる激闘の試合だったと言われています。
今後も語り継がれる試合でしょうし、今後の2人の演技にも引き続き注目していきたいですね。
2019年12月に行われたグランプリファイナルで、これまでの世界最高得点が更新されました。
ショートプログラム首位に立ったネイサンチェン選手が、フリーでも素晴らしい演技を披露し335.30点という高得点をたたき出したのです。
これにより、2019年3月の世界選手権でマークしていた自身の持つ世界最高得点を約12点上回り、新たに世界最高得点を更新しました。
ネイサンチェン選手は、ショートプログラムもフリーも完璧な演技をしてこの点数をたたき出しましたので、今後この点数を上回るのはそう簡単ではありません。
次に世界最高得点を塗り替えるのは誰か、注目が集まります。
ショートプログラムの世界最高得点は?
前述のように、ショートプログラムとフリーの総合得点とフリーの得点の世界最高得点の保持者は、ネイサンチェン選手です。
では、ショートプログラムの世界最高得点保持者は誰なのか、気になりますよね。
現在の世界最高得点保持者は、羽生結弦選手なのです。
フィギュアスケートのグランプリシリーズロシア大会。16日の男子シングルのショートプログラムで、「氷上の王子様」羽生結弦が今シーズンの世界最高得点を更新する110.53をマークした。 pic.twitter.com/l80AdiHpDh
— China Xinhua News (@XHJapanese) November 19, 2018
ネイサンチェン選手は世界最高得点の保持者であることは変わりありませんが、完全な世界最高得点ではないのです。
こういった面から見ても、ネイサンチェン選手と羽生結弦選手は良きライバル関係であることがわかりますね。
羽生結弦選手が持つショートプログラムの世界最高得点は、110.53点で2018年のグランプリシリーズ・ロステレコム杯でマークしたものです。
グランプリシリーズ2018・ロステレコム杯の羽生結弦選手のショートプログラムでは、4回転サルコーと4回転トゥーループからのコンビネーションジャンプ、そしてトリプルアクセルというジャンプ構成での、世界最高得点でした。
それに対し、ショートプログラムの世界最高得点2位がネイサンチェン選手で107.40点を出しており、これは2019年3月の世界選手権のショートプログラムでマークしたものでした。
つまり、3月に世界選手権が行われたときには、ネイサンチェン選手がフリー・総合得点で羽生結弦選手を上回ったものの、ショートプログラムだけは羽生結弦選手の持つ点数を塗り替えることができなかったのです。
ネイサンチェン選手は、世界選手権のショートプログラムで4回転ルッツと4回転トゥーループのコンビネーションジャンプ、そしてトリプルアクセルを完璧に成功させて107.40点という点数でした。
つまり、ジャンプ構成だけで見るとネイサンチェン選手の方が技術点では羽生結弦選手を上回っています。
しかし、羽生結弦選手は1つ1つのジャンプで軸や幅、着氷の仕方が美しく、ジャンプを跳ぶ前にもステップを踏んでそのままジャンプを跳ぶなど工夫を凝らしていますので、その分加点で多くの点数を稼ぐことができます。
また、スケーティング技術もわずかながら羽生結弦選手の方が高い得点をマークしていました。
そういった点では、ネイサンチェン選手もまだまだ改善できる余地はあるということで、今後羽生結弦選手のもつショートプログラム世界最高得点を塗り替えられる可能性も十分あります。
12月6日にグランプリファイナル2109の男子フリーが行われ、ネイサンチェン選手が110.53点という高得点をたたき出しました。
羽生結弦選手のもつショートプログラム世界最高得点には一歩及びませんでしたが、フリーでも好演技が期待されます。
それにしても、2~3年前までは、100点を超えたらすごいと言われていたのに、ネイサンチェン選手も羽生結弦選手もそれを大幅に超える点数を叩きだしていて、すごいですね。
今後どこまでショートプログラムの点数を伸ばしていけるのか、非常に楽しみです。
ネイサンチェンの最大の武器は?
ネイサンチェン選手の最大の武器は、やはり4回転ジャンプでしょう。
ここ数年で、男子フィギュアスケート界では4回転ジャンプが必須になってきており、跳べる選手も増えてきましたがこれだけ多くの種類の4回転ジャンプをコンスタントに跳ぶことのできる選手は、まだネイサンチェン選手くらいであると言っても過言ではないでしょう。
ネイサンチェン選手は、これまでの試合で4回転ループ以外の4回転ジャンプを成功させています。
それに対し、羽生結弦選手は4回転フリップには挑戦したことがありませんし、4回転ルッツは以前挑戦していたものの4回転ルッツの練習中に怪我をしてしまった以降は、試合では組み込んでいません。
ネイサンチェン選手はトリプルアクセルが苦手と言われていますので、ネイサンチェン選手にとっては4回転ジャンプのほうが簡単に感じているのかもしれませんね。
ネイサンチェンのグランプリシリーズでの順位は?
ネイサンチェン選手は、2019-2020シーズンのグランプリシリーズで第1戦のアメリカ大会と第3戦のフランス大会に出場しました。
そこでネイサンチェン選手は、見事な滑りを披露し2戦とも優勝して1番乗りでグランプリファイナルへの出場を確定させたのです。
自国開催となった第1戦のアメリカ大会では、ショート・フリーともに1位となり、総合得点で2位と40点以上も差をつける大差で、なんと大会三連覇を達成しました。
ネイサンチェン選手にとって2戦目となったフランス大会でもその勢い止まらず、ショート・フリーともに1位で総合優勝を果たしています。
フリーでは、ジャンプ7本中4本で4回転ジャンプに挑み、2本のトリプルアクセルを成功させました。
このような構成は、現在の男子フィギュアスケート選手でいうと、ネイサンチェン選手しかいないでしょう。
ネイサンチェン選手は、グランプリファイナルで現在二連覇しており、今のグランプリファイナルを制すれば三連覇達成となります。
ショートプログラムでは、羽生結弦選手を押さえて首位に立ったネイサンチェン選手。
翌日のフリーでどのような結果になるのかにも注目したいですね。
フリーが終わり、グランプリファイナル2019の優勝者が決定しました。
結果は、ショートプログラムで首位に立っていたネイサンチェン選手がフリーでも圧巻の演技で優勝し、これによってネイサンチェン選手がグランプリファイナル三連覇を果たしました。
フリーで逆転優勝が期待されていた羽生結弦選手は、4回転ジャンプを5本成功したもののトリプルアクセルの予定が抜けてしまうなど、完璧な演技とはいかず最終結果も2位に終わりました。
3位は、フランスのケビン・エイモズ選手でした。
グランプリファイナルでのネイサンチェン選手の連覇を食い止めることができなかった羽生結弦選手は、何としてでも来年こそグランプリファイナルでのタイトル奪還を目標の1つとしてくるでしょう。
来年のグランプリファイナルも、この2人の熾烈な闘いから目が離せません。
ネイサンチェンの今後の展望は?
ネイサンチェン選手は、現在グランプリファイナルで2連覇しており、世界選手権のタイトルも獲得しています。
そう考えると、次はもちろんオリンピックのタイトルも狙っていることでしょう。
2018年の平昌オリンピックでは、フリーで素晴らしい演技を披露したものの、ショートプログラムでのミスが響いてしまい、羽生結弦選手のオリンピック二連覇を阻止することはできませんでした。
ネイサンチェン選手はまだ20歳ですので、引退を考えるのにもまだ早いと感じます。
オリンピックで金メダルを取るためには、やはり4回転ジャンプは不可欠です。
それに加え、スケーティング技術や表現力といった面でもネイサンチェン選手はまだまだ改善の余地があります。
人間は、5回転ジャンプまでは物理的に跳ぶことができている、と言われています。
現在、既に4回転ジャンプも少し余裕をもって跳ぶことができているネイサンチェン選手ですので、今後もしかしたら5回転ジャンプに挑戦していくかもしれませんね。
グランプリファイナルはどうなる?
グランプリファイナル2019 出場者 pic.twitter.com/Sh5PZNYRWg
— ⚜️🦄⚜️ (@figureetc) December 6, 2019
2019年12月7日から、イタリア・トリノでグランプリファイナルが行われます。
日本男子勢は羽生結弦選手のみの出場となってしまいましたが、今大会でもネイサンチェン選手と羽生結弦選手の一騎打ちになるのではないかと見られています。
今シーズン、4回転ジャンプを含めてジャンプが非常に安定しているネイサンチェン選手は、好調を保ったままグランプリファイナルに臨めるでしょう。
しかし、羽生結弦選手も今シーズンはジャンプが安定しています。
グランプリファイナル三連覇を狙うネイサンチェン選手と、何としてでもグランプリファイナルのタイトルを取り返したい羽生結弦選手の演技がとても楽しみです。
しかし、もちろん注目はネイサンチェン選手と羽生結弦選手だけではありません。
この2人の他には、ケビン・エイモズ選手、ボーヤン・ジン選手、ドミトリー・アリエフ選手そしてアレクサンドル・サマリン選手が出場します。
どの選手も、グランプリシリーズに2戦出場して上位に入った選手です。
試合は何が起こるかわかりませんので、ネイサンチェン選手と羽生結弦選手が特に注目されていますが、誰が優勝してもおかしくはありません。
初日のショートプログラムでは、羽生結弦選手が4回転のコンビネーションでミスをしてしまい、点数に伸び悩みました。
一方のネイサンチェン選手は2本の4回転ジャンプに加え、トリプルアクセルも成功させ首位に立ったのです。
しかし、羽生結弦選手もここで引き下がるような選手ではありません。
フリーはネイサンチェン選手も羽生結弦選手もどのような演技を魅せてくれるのか、今年のグランプリファイナルは間違いなく見応えのある大会になるでしょう。
【2019年グランプリファイナル後追記】
前述のように、グランプリファイナル2019の最終結果はネイサンチェン選手の三連覇、逆転優勝が期待されていた羽生結弦選手は惜しくも2位に終わりました。
ネイサンチェン選手の演技の直前の滑走だった羽生結弦選手も、1つジャンプの抜けがあったものの素晴らしい演技を披露し、演技後には観客からの歓声とプレゼントのプーさんが大量に投げ込まれていました。
しかし、ネイサンチェン選手はその光景を目の当たりにしても冷静でした。
ネイサンチェン選手は、プログラムに5本の4回転ジャンプを組み込み、そのうち後半に2本を跳ぶ構成で本番に臨み、見事全てのジャンプを成功させました。
しかし、ネイサンチェン選手は決して満足しているわけではありません。試合後のインタビューでは、「最後はガス欠になってしまったので、もう少しスタミナの強化に取り組む必要がある」と語っていました。
世界選手権に引き続きグランプリファイナルでも優勝を逃してしまった羽生結弦選手ですが、「ライバルがいることで自分も頑張れる」と語っていましたので、ネイサンチェン選手という存在がいることがフィギュアスケートを続けるモチベーションとなっているのでしょう。
次にネイサンチェン選手と羽生結弦選手が同じ試合に出るのは、おそらく2020年3月の世界選手権でしょう。次の対決も楽しみですね。
まとめ
- ネイサンチェンが持つ世界最高得点は、323.42点である。
- ショートプログラムの世界最高得点は、羽生結弦選手が持つ110.53点である。
- ネイサンチェンの最大の武器は、4回転ジャンプである。
- ネイサンチェンは、グランプリシリーズ2019のを制している。
- ネイサンチェンはオリンピックのタイトルを取るべく、4回転ジャンプに加えスケーティング技術や表現力などをさらに磨いていく必要がある。
- グランプリファイナル2019では、ネイサンチェンと羽生結弦の一騎打ちが予想されており、ショートプログラムではネイサンチェン選手が首位に立った。