全日本選手権でもこれまで何度優勝経験があり、ソチオリンピックでも4位と大健闘した宮原知子選手。
近年注目されている日本女子フィギュアスケート界では、エース的存在です。
そんな宮原知子選手ですが、ここ数年でジャンプが以前よりも高くなったと言われています。
その改善はコーチの指導法によるものなのでしょうか。
宮原知子選手のジャンプ改善についてご説明いたします。
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宮原知子のジャンプが高くなった?
【フィギュアスケートジャパンオープン】
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— 矢口亨@スポーツ報知写真部 (@yaguchi_hochi) October 6, 2019
宮原知子選手は、今でもどちらかというとジャンプが得意という選手ではありませんが、ここ数年でジャンプの高さが以前よりも高くなったと言われています。
宮原知子選手は、2017年の1月に左股関節を疲労骨折する怪我を負いました。
その年の12月には、翌年の平昌オリンピックの代表選考である全日本選手権が控えていました。
トレーニングや栄養管理を徹底し、練習を再開した矢先、今度は左足首の捻挫。一時は「もう頑張れないかも」と思ったこともあったそうですが、平昌オリンピックを見据えて諦めなかった宮原知子選手。
そこからは、リハビリや筋力トレーニング、栄養管理を以前にも増して徹底したそうです。
また、氷で十分な練習ができない分、表現力の向上にも取り組んだと言います。
その結果、怪我から復帰した時には以前よりも可動域が広がり、表情や手の使い方といった表現力の面で成長したという声が多くあがりました。
また、筋肉を強化したことによりジャンプも高くなったそうです。
宮原知子選手のジャンプが高くなった要因は他にもありますが、それは後ほど詳しくご紹介します。
それにしても、怪我をしたことをマイナスに捉えず、復帰した時にはさらに進化した姿を見せることのできた宮原知子選手は強いですね。
宮原知子はコーチとジャンプを改善した?
【フィギュアスケートジャパンオープン】#宮原知子
映画「シンドラーのリスト」の曲に乗せ、3回転ルッツなどを着氷。#フィギュアスケート#ジャパンオープン pic.twitter.com/T2xeMxlDWy
— 矢口亨@スポーツ報知写真部 (@yaguchi_hochi) October 5, 2019
宮原知子選手のジャンプ改善の裏には、コーチの指導が大きく関わっていると考えられます。
宮原知子選手はこれまで濱田美栄コーチと田村岳斗コーチに師事していましたが、数年前から宮原知子選手とコーチ陣はジャンプの改善が必要だと考えていました。
表現力やスケーティング技術では世界トップと言っても過言ではありませんが、宮原知子選手はジャンプの高さが低く回転不足を取られがちだったり、ジャンプの加点などがあまりもらえないジャンプだったのです。
そこで濱田美栄コーチが宮原知子選手のジャンプ指導を依頼したのが、カナダ人コーチであるジスラン・ブリアンコーチです。
あの羽生結弦選手も指導を受けるほどジャンプの指導に定評があり、宮原知子選手は2018年5月頃から濱田美栄コーチのレッスンと並行して師事しています。
ジスラン・ブリアンコーチは、宮原知子選手に
「ジャンプを正しい姿勢で跳ぶこと」
を意識させるような指導をしており、全てのジャンプについて無駄な力を使わないに跳ぶことを教えています。
宮原知子選手はジスラン・ブリアンコーチに
「どのジャンプも跳びあがって回転するときに肩のラインと腰のラインがまっすぐな四角になってなければならない」
と指導されたようです。
こでまで、宮原知子選手のジャンプの悪い癖としてどうしても回り急いでしまうので、跳びあがる前に体が先に回転してしまい最後の踏切の時にしっかりと氷を踏むことができなかったのです。
その結果、つま先を突いても100%の力が氷に伝わらないため、跳びあがるパワーも少なくなってしまい、ジャンプに高さを出すことができなかったことがわかりました。
そのことがわかってからは、宮原知子選手は肩のラインと腰のラインを意識するようになり、正しいフォームでジャンプを跳ぶことができるようになってきました。
その努力が実り、昨シーズンからは宮原知子選手のジャンプに対する回転不足が取られる回数も、これまでより減ったのです。
宮原知子選手のジャンプ改善の裏には、ジャンプの指導がうまいコーチの指導や支えが大きく関係していたのですね。
宮原知子のコーチは誰?
宮原知子選手は、幼い頃から濱田美栄コーチに師事しています。
宮原知子選手のご両親はお医者さんなのですが、宮原知子選手のフィギュアスケートを心から応援しており、幼い頃に宮原知子選手の力を伸ばしてくれるコーチは誰なのか、とお父さまが調べた結果、濱田美栄コーチにたどり着いたようです。
今では、紀平梨花選手や白岩優奈選手、細田采花選手など日本のトップクラスの選手をたくさん抱えている名コーチです。
お父さまの選択は、宮原知子選手にとって最良の選択だったのですね。
また、濱田美栄コーチのアシスタントコーチとして田村岳斗さんも、宮原知子選手のコーチを務めています。
演技後のキス&クライなどでは、よく一緒に座っているので見たこともある方も多いでしょう。
また、数年前からは世界選手権でも優勝経験があり、現在はスイスを拠点にコーチをされているステファン・ランビエールコーチにも師事しています。
宮原知子選手はオフシーズンに、紀平梨花選手などとスイスに渡り長期の海外合宿を行っているのです。
ステファン・ランビエールコーチは、スケーティングや表現力が高く、宮原知子選手もそれらの技術を学ぶためにスイスに行っているのだと思われます。
他にも2019年9月には、現在トロントを拠点に指導している、カナダ出身のリー・バーケルコーチにも師事することを発表しています。
しかし、リー・バーケルコーチが宮原知子選手のメインコーチとなるわけではなく、あくまで濱田美栄コーチが引き続きメインコーチを務めるそうです。
リー・バーケルコーチは、これまでに元日本男子フィギュアスケート選手の織田信成選手や2008年世界選手権優勝のジェフリー・バトルさんなどを指導した経験があります。
ジャンプの指導に定評があるコーチですので、宮原知子選手も師事することを決めたのでしょう。
宮原知子選手は現在、高難度の3回転+3回転のコンビネーションジャンプは習得しているものの、トリプルアクセルはまだ練習中で本番でも一度も挑戦したことがありません。
ここ数年の女子フィギュアスケート界を見ていると、紀平梨花選手やロシアのトゥクタミシェワなどトリプルアクセルを跳べる選手が出てきていますし、カザフスタンのトゥルシンバエワは4回転ジャンプも既に成功させています。
宮原知子選手も今のままでは世界のトップで闘っていけない、という危機感を感じているようで、リー・バーケルコーチの元でトリプルアクセルや4回転の習得に取り組んでいるのです。
このように、宮原知子選手くらいのトップクラスの選手になると、メインコーチの他にそれぞれの技術に特化したコーチに指導を仰ぐことも珍しくありません。
それぞれのコーチのいいところをとって、さらにレベルアップした宮原知子選手をみることができるといいですね。
宮原知子はジャンプが回転不足だったの?
宮原知子選手は、小学生のノービス時代から国内大会で優勝し注目を集めてきました。
しかし、決してジャンプが得意だったわけではありません。
前述のように、宮原知子選手のジャンプは他の選手に比べて高さがないため、その分回転不足になりがちです。
多くの選手は、空中で回りきってから着氷するのですが、宮原知子選手の場合は空中でも最後まで回転しながら着氷していました。
一度そのように判定されてしまうと、それ以降の大会でも回転不足ではないかどうか確認されてしまうことが多くあります。
そのため、宮原知子選手=ジャンプの回転不足というイメージがついてしまったのでしょう。
国際スケート連盟がルールを変更したの?
2018年6月に、国際スケート連盟が大きなルールの変更が発表されました。
主な変更点としては、
- 男子フリーの演技時間が従来の4分半から4分へ
- フリーのジャンプの数が8本から7本へ
- 後半ジャンプのボーナス点が加算されるのはショートでは3本目のジャンプのみ、フリーでは最後の3本のみ
さらに、フィギュアスケート選手が大きく驚いたのは出来栄え点に関する変更です。
それまで、ジャッジ個人が個々の技につけることができる出来栄え点は、-3から+3の7段階でした。
しかし、2018年の改正によって出来栄え点は-5から+5の11段階に変更になったのです。
これにより、以前よりも出来栄え点でさらに差がつけられるようになり、羽生結弦選手のように美しいお跳ぶことができる選手にとっては有利になったものの、宮原知子選手のようにジャンプで加点をもらえにくい選手にとっては厳しい採点方法になりました。
出来栄え点で加点をたくさんもらうためには、いくつかの要件があります。
<div class=”concept-box2″><p>
- ジャンプの高さや幅
- 流れがあるかどうか
- 踏み切りから着地まで無駄な力がないこと
- 空中での姿勢
- ジャンプに入る時または降りた後にステップを踏んでいる</p></div>
この要件を見てみると、宮原知子選手のジャンプは高さが他の選手と比べて低く、流れもあまりありません。
そのため、宮原知子選手にとってこのルール改正は、どちらかというと不利なものだったのです。
宮原知子のジャンプの成功率は?
宮原知子選手は、これまでジャンプの高さが低めで回転不足が取られやすかったのは事実です。
それでも、宮原知子選手はどんな試合でもコンスタントに上位に入っていました。
それは、ジャンプで転倒したり、3回転ジャンプを跳ぼうとして1回転になってしまう、などの大きなミスがほとんどないからです。
宮原知子選手の試合でのジャンプの成功率は、95%以上であると言っても過言ではないでしょう。
このことから、宮原知子選手は海外メディアから「ミス・パーフェクト」とも言われているのです。
他の選手は、いくら練習で完璧に近いジャンプが跳べていても、試合本番では緊張でジャンプをミスしてしまう選手も多くいます。
また、1度ノーミスで滑り切ることができても、数年間続けてほぼ全ての試合でノーミスすることはかなり難しいことです。
しかし、宮原知子選手は数年間ほぼすべての試合でジャンプを成功させています。
コツコツ練習を続け、試合の時には少し緊張したくらいでは揺るがない、圧倒的な自信があるのでしょうね。
今後も「ミス・パーフェクト」である宮原知子選手を応援しましょう。
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まとめ
- 宮原知子のジャンプは高くなった
- 宮原知子は、カナダ人コーチであるジスラン・ブリアンコーチとともにジャンプの改善に取り組んだ
- 宮原知子は、濱田美栄コーチ、田村岳斗コーチ、ステファン・ランビエールコーチ、そしてリー・バーケルコーチに師事している
- 宮原知子のジャンプは高さが低く、回転不足判定になりがちだった
- 国際スケート連盟は、2018年にルール改正した
- 宮原知子のジャンプの成功率は、95%以上であるとも言われ、「ミス・パーフェクト」というあだ名もついている