今の男子フィギュアスケート界で特に注目を集めているのが、アメリカのネイサンチェン選手と日本の羽生結弦選手です。
どちらも4回転を跳ぶことができ、ここ最近の試合ではネイサンチェン選手か羽生結弦選手の一騎打ちが予想されることも多いです。
試合ではライバルである2人ですが、実際の仲の良さはどうなのでしょうか。
また、ネイサンチェン選手も羽生結弦選手もどちらもすごい選手ですが、2人の違いは何なのでしょうか。
グランプリファイナル2019を直前に控えている今、注目の2人について徹底解説します。
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ネイサンチェンと羽生結弦は仲がいい?
ネイサンチェン選手と羽生結弦選手は仲がいいでしょう。
試合が終わった後のエキシビションやオフ期間のアイスショーで一緒になると、楽しそうに会話している姿をよく見かけます。
また、ネイサンチェン選手のインスタグラムではツーショット写真などもたびたび見かけます。
基本的に男子のフィギュアスケート選手は、国籍に関わらず仲がいいイメージですので、ネイサンチェン選手と羽生結弦選手も試合が終わればお互いのことをたたえあったり、同じレベルの選手にしかわからないような悩みなどを共有することもあるのでしょう。
その一方、ネイサンチェン選手と羽生結弦選手は仲がいいだけでなく、お互いをライバルとして意識しています。
2018年の平昌オリンピックでは、前回のソチオリンピック金メダリストの羽生結弦選手かネイサンチェン選手の一騎打ちが予想されましたが、結果はネイサンチェン選手がショートプログラムで全てのジャンプでミスをしてしまったことが大きく響いてしまい、最終順位は羽生結弦選手の二連覇で大会を終えました。
しかし、フリーだけで見てみるとなんと羽生結弦選手を押さえて、ネイサンチェン選手が首位に立っていました。
「たられば」ではありますが、もしネイサンチェン選手がショートプログラムでミスをしていなければ、ネイサンチェン選手が優勝していた可能性も十分にあります。
ネイサンチェン選手と羽生結弦選手は、お互いにないものを持っていますし、試合の時の調子によっては順位が前後するほど同等の実力を持っていることはたしかです。
それをわかっているうえで、お互いのことを尊敬しあい高めあっている姿はまさにスポーツマンであり、すばらしい関係だと感じます。
ネイサンチェンと羽生結弦の違いは?
ネイサンチェン選手と羽生結弦選手の違いは2つあります。
1つ目はジャンプについて、2つ目はスケーティング技術や表現力についてです。
1つ目のジャンプですが、ジャンプでより高い得点を稼ぐことができるのはネイサンチェン選手です。
ネイサンチェン選手は、4回転ジャンパーとも呼ばれていて、4回転ループと4回転アクセル以外の4回転ジャンプは試合で成功させていますし、現在もプログラムの構成に組み込んでいます。
また、ネイサンチェン選手の4回転ジャンプは高さや幅もあり、精度が高いと評価されています。
その一方、羽生結弦選手はネイサンチェン選手よりは4回転ジャンプを多く跳んでいません。
4回転ジャンプの種類も、羽生結弦選手は4回転サルコーと4回転トゥーループ、4回転ループの3種類のみです。
このようにジャンプで比較してみると、ネイサンチェン選手のほうが4回転の種類も高難度のものを跳べますし、プログラムに組み込んでいる回数も多いです。
では、2つ目の違いであるスケーティング技術や表現力はどうでしょうか。
この部分については、羽生結弦選手のほうが高く評価されています。
羽生結弦選手は、音楽の解釈や表現力がとても高く、全体を通して1つの物語が見えるような演技です。
フィギュアスケートにとって、どうしてもジャンプに集中しまいがちですが、羽生結弦選手のようにジャンプ以外の部分でも魅せることができる選手はそう多くありません。
ネイサンチェン選手は、4回転ジャンプを多く跳ぶ分、それ以外の部分がどうしても物足りないように見えてしまうのです。
このように、ネイサンチェン選手と羽生結弦選手はそれぞれの良さがありますので、次回見るときには以上2つのポイントにも注目しながら観戦してみてください。
羽生結弦に勝てるのはネイサンチェンしかいない?
前述のように、ネイサンチェン選手はジャンプを最大の武器としていて、羽生結弦選手はスケーティング技術や表現力といった面を強みにしています。
断っておきますが、羽生結弦選手のジャンプが決して劣っているという意味ではありません。
ただ、4回転を多く組み込んでいるネイサンチェン選手のほうがジャンプで得点を稼ぐことができる、という意味です。
また、羽生結弦選手は4回転ジャンプの種類や回数は少ないものの、1つ1つのジャンプの完成度が高いため、ジャンプに対する加点では点数を稼ぐことができます。
しかし、やはり4回転ジャンプは基礎点が高いため、ネイサンチェン選手が4回転を含むジャンプを全て決めた場合、当然ですがネイサンチェン選手のほうが有利といえるでしょう。
実際、2019年3月に日本で行われた世界選手権では、ネイサンチェン選手が完璧に4回転を成功させ、同じくほぼ完ぺきな演技をした羽生結弦選手を押さえて世界最高得点をたたき出し、優勝しています。
このことを考えると、羽生結弦選手に勝てるのはネイサンチェン選手しかいない、ということも納得できるのではないでしょうか。
そして5日にショートプログラムが行われましたが、羽生結弦選手はジャンプにミスが出てしまい、97.43点で2位発進となりました。
そしてやはり首位に立ったのは、ネイサンチェン選手です。
羽生結弦選手よりも10点以上上回る110.38点という点数を叩き出しました。
グランプリファイナル2019はどうなる?
もうすぐ、グランプリシリーズを勝ち抜いた6人によって行われる、グランプリファイナルが開催されます。
グランプリファイナルでは、ネイサンチェン選手と羽生結弦選手の一騎打ちではないかと見られています。
4回転を確実に成功させればネイサンチェン選手のほうが点数が出るでしょうが、もしネイサンチェン選手が4回転ジャンプ等を失敗してしまった場合には、音楽とずれてしまい演技に精細を欠いてしまいますので、羽生結弦選手のほうが有利であると言えるでしょう。
ネイサンチェン選手も羽生結弦選手も、このグランプリファイナルではタイトルを絶対にとりたいと思って臨んできますので、どんな演技を見ることができるのか、観客としては非常に楽しみな大会です。
グランプリファイナルにはネイサンチェン選手の他にも、羽生結弦選手やアレクサンドル・サマリン選手、ドミトリー・アリエフ選手、ケビン・エイモズ選手、ボーヤン・ジン選手が出場を確定させています。
ネイサンチェン選手と羽生結弦選手、2人ともミスがあった場合にはどうなるかわかりません。
世界のトップ6が集まる大会ですので、かなりの混戦が予想されます。
ショートプログラムが終わって結果を見てみると、ネイサンチェン選手が1人突き抜ける形で首位発進となりました。
2位の羽生結弦選手は、ショートプログラムでネイサンチェン選手と10点以上も離れてしまったため、フリーでかなり巻き返さなければなりません。
ネイサンチェン選手が逃げ切るのか、羽生結弦選手が逆転するのか、フリーも非常に楽しみです。
ネイサンチェンのプロフィール
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名前:ネイサン・チェン
生年月日:1999年5月5日
年齢:20歳
出身地:アメリカ(ソルトレークシティ)
ネイサンチェン選手は、5歳の時にフィギュアスケートを始めました。
ネイサンチェン選手は5人兄弟姉妹の末っ子で、お兄さん2人はアイスホッケー、お姉さん2人はフィギュアスケートをやっていた影響で、ネイサンチェン選手はフィギュアスケートを始めたそうです。
ネイサンチェン選手の才能は瞬く間に開花していき、13歳になる直前にトリプルアクセル、15歳の時に4回転トゥーループ、16歳の時に4回転フリップと4回転ルッツを成功させているのです。
2013年には、ジュニアグランプリシリーズを制覇し、グランプリファイナルでは3位。
その後2年間は怪我に悩まされた時期もありましたが、見事に復活し現在では羽生結弦選手と肩を並べ、世界の大会で大活躍しています。
ネイサンチェン選手のすごいところは4回転だけではなく、文武両道を実践しているところです。
2018年からアメリカの名門大学である、イエール大学に進学しています。
大学では統計学や医学を学びながら、競技生活を続けているのです。
試合直前でも大学のテストを受けてから試合会場に向かうこともあるネイサンチェン選手は、時間の使い方もうまいのでしょうし、たくさんの努力をしているのでしょう。
そんな真面目なネイサンチェン選手に今後も注目が集まること間違いなしでしょう。
まとめ
- ネイサンチェンと羽生結弦は仲がいいが、お互いを尊敬し高めあえるライバルでもある。
- ネイサンチェンと羽生結弦の違いは、ジャンプとスケーティング技術・表現力の2つである。
- 羽生結弦に勝てるとしたらネイサンチェンであると期待されている。
- グランプリファイナル2019は、自分の滑りをしたほうが優勝する、というほど予想できない展開になりそうだ。
- ネイサンチェンは5歳のころにフィギュアスケートを始め、4回転ジャンプを武器にしている。
- ネイサンチェンのすごいところはフィギュアスケートだけでなく、イエール大学に通い文武両道を実践しているところである。